氷龍太鼓

コレは“もっこうぼう さしご”と読みます。僕の木工屋の屋号です。
[三四五]とは…難しく言ってしまえば[ピタゴラスの定理]の事であり、簡単に言ってしまえば、この三つの長さを組み合わせれば必ず直角三角形が出来るという事です。
それを大工や木工の先人達は“三四五の矩(さしごのかね)”と呼びました。これさえ知っていれば、どんな現場でも正確な直角の定規を作れたのです。計算では無く、経験が産み出した先人たちの知恵だったのでしょう。本当に素晴らしい事です。


僕は現在は別の本業で生計を立てているのですが、二十代半ばから三十代前半まで(修行期間も含めて)【木工】が僕の全てでした。毎日ひたすら木を削り、モノを形作る日々。
岐阜県高山市(旧 清見村)の[森林たくみ塾]で2年、長野県小諸市の谷 進一郎氏に3年師事。
その後独立をしますが…まぁなかなか上手くいかなかった訳だ(笑)。
今では本業をやりながら、夜間や休日の気が向いた時に、たまに入ってくる依頼(納期の厳しいモノは今は出来ません)や、自分の好きなモノを作る…という感じであります。
本業としてやっていた当時は仕口や仕上にかなりこだわりがありました。
今は仕事と違って時間の制約も無いので、もっと凝り性になるかと思いきや、意外と…そうでもない様です。
ちょっと歳のせいもあっておおらかになってきたのかな?


やっぱり木工は大好き。生涯の[趣味]として、これからも続けていくつもりです。
目指せ、最強のアマチュア木工屋!(爆)

木工房 三四五

現在の作業場の機械場。
ささやかな木工機械が並んでます。

やたらとある鉋類。
変な鉋が結構あります。

過去の作品類

[抽斗行灯(ひきだしあんどん)]

行灯って元々は火を使うから、収納と一緒になる事は無かった。いわゆる[リデザイン]。
枕元に置いておくとかなりいい雰囲気。
引き出しの摺り桟が構造材を兼ねています。

[文机]

欅に拭漆。書斎に籠りたくなる様な引力を持たせたかった。
緩い微妙な曲線が僕の持ち味。

[子供椅子]

楢に拭漆。地味だけど非常に緩い曲線の集合体。
こういう作品が作ってて一番やっかいだけど楽しい。

[スツール]

本当は三本脚のスツールは御法度(笑)。
この仕口…どうやって外すか分かりますか?

[ウォールキャビネット]

崩れた日本家屋の壁をイメージ。
中に照明を仕込んである。
和紙越しの明かりっていいよね。

[道具箱]

コレは僕の道具箱。鑿を収納しています。
この仕口も見た目は面白いけど、実際強度はイマイチ。

[小抽斗(こひきだし)]

一枚板の耳の曲線を
生かした作品。
節とかもいいアクセントに
なる。

[キャビネット]

日本古来の“帳箪笥”をリデザイン。
本来金具にあたる所は黒檀と真鍮で
丁番を製作。ちょっと李朝っぽいかな。
仕口も“見せる”モノになっています。

…やっぱり木工は楽しい。今度は何を作ろうかな。

[竿掛万力]

友人からの依頼があり製作。
材料は、本体は持込でタモを竹でサンドしたもの。
ツマミ類は神代欅。
実は…僕は釣りの趣味は無いので、未だにどの様に
使っているのか、その光景を見た事が無い。

ヘラブナ釣りに使う道具だそうで。
上下左右に可動し、ネジで固定される。

分解するとこんな感じ。